前立腺肥大症
- 2023年7月28日
- 男性の泌尿器科
前立腺肥大症
前立腺とは
男性にだけある臓器です。
膀胱の下にあり、尿道を囲むようにあります(おしっこの通り道の一部です)。また、直腸に接しているため、直腸の壁越しに指で触れることができます。
前立腺の主な働きは、精子に栄養を与えたり保護したりする働きのある前立腺液を作っています。前立腺液は射精時に精液と一緒に尿道を通して体外に出てきます。
前立腺肥大とは
前立腺は、年齢とともに大きくなる傾向があります。50歳以降から肥大する頻度が多くなるといわれています。前立腺肥大を認めるからといって、必ず治療が必要なわけではありません。前立腺は尿道を取り囲むようにあり、特に尿道側が大きくなりやすいため、尿道を圧迫し、尿の流れを妨げやすいことが特徴です。60歳までに50%以上の男性が、80歳以上では80%の男性がこの症状を経験するといわれています。
前立腺肥大の原因は
男性ホルモンとの関係があることはわかっていますが、どのように作用して起きているのかはっきりとした原因はわかっていません。生活習慣病と前立腺肥大との関係も指摘されています。
前立腺肥大の症状は
尿の出方:
尿の勢いが弱くなったり、尿の流れが途切れたりすることがあります。また、尿の出始めが遅くなる、排尿後も残尿感があるといった症状が出ることもあります。
頻尿や夜間頻尿:
尿意を感じる回数が増え、夜間に何度もトイレに行くことがあります。
尿漏れ:
尿が意図せずに漏れることがあります。
おしっこの感染症:
尿の出が悪くなることで、尿路感染症の危険性が増えます。
尿閉(尿道が圧迫されおしっこがでなくなること)、腎機能低下:
尿の出が悪いことを放置することで膀胱の機能が落ち、おしっこが出なくなる場合があります。また、腎臓の機能低下につながることもあります。
これらの症状は、前立腺肥大症の進行度により出てくる症状はさまざまです。軽度の場合、症状がわずかであるか、まったく現れないこともありますが、進行すると日常生活に支障をきたすことがあります。注意が必要なことは、尿閉などの重い症状の場合もとの機能に戻らない場合があることです。
前立腺肥大の診断は
症状や尿検査、超音波検査、血液検査、尿流量検査などを行って診断します。
尿検査:
おしっこの感染症がないか、血液が混ざっていないかを確認します。
超音波検査:
前立腺の大きさや形が異常ないかを測定します。
血液検査:
前立腺癌の可能性がないか調べます。
尿流量検査:
おしっこの勢いを測定し、重症度を判断します。
前立腺肥大症の治療は
観察と経過観察:
症状が軽度である場合、定期的な経過観察が行われることがあります。
薬物療法:
内服薬で症状を和らげます。
手術療法:
症状が重い場合には手術が必要なこともあります。
最後に
前立腺肥大症は、早期に適切な治療を受けることで症状を軽減させることができます。年齢も前立腺肥大症の要因の一つですが、無理にご自身で納得されずに治療を受けることで、日常生活の質の向上にもつながります。