ケジラミ症
- 2023年8月15日
- 男性の泌尿器科
ケジラミ症
ケジラミ症とは
吸血性昆虫であるケジラミ(phthirus pubis)が寄生することにより発症します。
主に性行為により感染し、主な感染部位は陰毛です。
人に寄生するシラミにはいくつか種類がありますが、性感染症を引き起こすものはケジラミのみです。
ケジラミ症の症状
症状はかゆみのみで、皮膚の変化に乏しいことを特徴としています。
主に陰毛のある部分のかゆみを自覚しますが、肛門周囲、わき毛、胸毛、ももの短毛に寄生する場合には、寄生した部分のかゆみを生じます。
いままで、ケジラミは頭髪には寄生しないといわれていましたが、頭髪にも寄生しかゆみを生じます。
かゆみが出てくるのは、感染後1カ月後から2カ月が多いとされています。
かゆみの程度には個人差があります。免疫抑制状態にある患者様ではかゆみが無かった報告もあるため、かゆみが起こる機序として、しらみの唾液に対するアレルギー反応が疑われています。
ケジラミの感染の仕方
ほとんどの場合は陰毛が直接触れることにより感染します。
一方で家庭内では、親子での感染も多く、接触の密な母子間での感染が多いとされています。
毛布やタオルなどを介した感染の可能性も考えられますが、ケジラミは宿主から離脱後、48時間以内しか生きられず、1日に10㎝くらいしかできないため、主な感染の仕方としては直接接触によるものと考えられる。
ケジラミ症の診断
かゆみのみの自覚症状で皮膚の病変を伴わない場合はケジラミ症が疑われます。
陰毛の根本にくっついている虫、もしくは卵を顕微鏡で確認し、診断します。
ケジラミ症の治療
剃毛法:
確実な治療法としては、感染している部分の毛をすべてそり落とすことです。
ただし、寄生している部分が一箇所に限られているとも限らないので、確実に寄生しているすべての毛髪を剃毛することはある意味困難ともいえます。
薬剤を用いた治療:
剃毛が困難な場合には薬剤を用いて治療を行います。
注意点:
注意点としては、患者様が治癒しても、パートナーもしくはご家族様が感染していた場合、再度感染してしまう可能性があるので、パートナーの治療もしくは家族様の治療も同時に行うことが重要です。
衣類などは、ある期間は感染の危険性があるため、アイロンで熱処理するかドライクリーニングでの処理を行うと、衣類からの感染リスクを避けられます。
最後に
感染したのち、1~2カ月後に発症することが多いです。
そのため、発症し感染が確認されたら1~2カ月前に性交渉のあった相手も検査をすることが必要になります。
ケジラミ症はかゆみのみの自覚症状ですが、日常生活に影響を及ぼす疾患です。また、ほかの性感染症との合併例も多く報告されています。
もし心当たりがあれば、お気軽にご相談ください。