神経因性膀胱
- 2023年8月11日
- 女性の泌尿器科
神経因性膀胱
神経因性膀胱とは
神経因性膀胱は、神経の働きに関係する病気が原因でうまく排尿できなくなる病気のことです。
神経の病気によっては膀胱や尿道の正常な働きができなくなります。
膀胱は、尿を溜め、排泄するための臓器で、神経の調節を受けて正常に機能します。
しかし、神経因性膀胱では、この調節が出来なくなり、膀胱の収縮や弛緩が正常に行われなくなります。
これによって、尿意を感じにくい、排尿したつもりでも尿が残っている、尿が尿管や腎盂まで逆流するなどの問題が生じることがあります。
神経因性膀胱の原因
神経因性膀胱の主な原因は、中枢神経系(脳や脊髄)または末梢神経系(膀胱や尿道の神経)の障害です。
脊髄損傷:
交通事故や転倒などの外傷、または疾患によって脊髄が傷つくことで、神経因性膀胱が引き起こされることがあります。脊髄損傷によって、膀胱の収縮や弛緩を調節する神経の信号伝達が妨げられ、膀胱の正常な働きができなくなります。
脳神経系の障害:
脳出血、脳腫瘍、多発性硬化症などで神経因性膀胱を引き起こすことがあります。これらの疾患によって、脳が膀胱の制御に必要な信号を正しく送ることが難しくなります。
骨盤の手術後:
直腸がんや子宮がんの手術後に膀胱周囲の神経が傷つき、神経因性膀胱を引き起こすことがあります。
神経因性膀胱の症状
神経因性膀胱の症状は、個人によって異なる場合がありますが、一般的な症状としては以下のようなものがあります。
頻尿:
尿が溜まりきらなくても尿意を感じる回数が増え、頻繁にトイレに行く必要が出てきます。
尿失禁:
膀胱が勝手に収縮して、突然の尿漏れが起こることがあります。
残尿:
膀胱が完全に空にならず、尿を溜め続ける状態が生じることがあります。
尿の逆流:
尿が逆流して腎臓に戻ることがあり、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。
神経因性膀胱の治療
神経因性膀胱の治療は、基本的には原因に応じて行われます。以下に一般的な治療法をいくつか紹介します。
薬物療法:
膀胱の収縮や弛緩を調整するための薬物が使用することがあります。
自己導尿:
尿貯留を防ぐために、患者様自身で定期的な導尿(カテーテルの挿入)が行われることがあります。
膀胱訓練、骨盤底筋体操などの理学療法
外科的治療:
重症の場合、頻尿改善目的にボツリヌス毒素注入療法や、尿漏れを改善するために外科手術が検討されることがあります。
最後に
神経因性膀胱は、原因となる病気によっては根治が難しい場合もあります。ただ、排尿に関しては症状を和らげる手段もあります。ご本人様、ご家族様で過去に神経の病気をされて排尿の悩みを抱えられている方がいらっしゃったら、ぜひお気軽にご相談ください。